「V字回復」

株式会社ダイヤモンド・ビッグ社は、
5月19日に東京地裁より特別清算開始命令を受けた。

同社は、1969年9月に設立。
出版大手ダイヤモンド社の子会社として、

旅行ガイドブックの編集・出版の受託制作を手がけ、
『地球の歩き方』などを発行、

旅行者の実用書として高い知名度を誇っていた。
2001年9月期売上高約112億6500万円を計上。

しかし、
出版不況下で新型コロナウイルス感染拡大に
伴う渡航制限の影響で、

2020年3月期（決算期変更）
売上高は約28億8500万円に落ち込み、
その後も歯止めはかからず赤字に転落。

2021年1月、出版事業は
学研グループの株式会社地球の歩き方に譲渡。

2023年3月31日、株主総会決議により解散。
（帝国データバンクより）

コロナ禍を機に窮地に陥った
「地球の歩き方」が驚異的な変革を遂げている。

長年培った編集力と
発想の転換が「V字回復」に結びつく。

学研で海外戦略に携わった新井氏が社長に就任。
眼にとまったのが事業譲渡前の「地球の歩き方東京」。

国内ガイド本が競合が多い。

だが、国内版に活路を見出す。
京都、沖縄、北海道に続き、
千葉、埼玉、多摩など絞った地域を出す。

本来、
ガイド本は知らない土地を知るために買うものだが、
「地球の歩き方」は「地元愛」で買われている。

土地の歴史コラムや口コミを充実、
地元を再発見する読者が多い。

学研のオカルト雑誌「ムー」との異色コラボ本、
「地球の歩き方ムー」。

ピラミッドやモアイ像、ネッシーなど
未確認生物の伝説を歩き方の手法で追求。

22年2月発売、計13万部が売れた。

世界各国を旅しながら宿敵と闘う冒険漫画
「ジョジョの奇妙な冒険」との
「地球の歩き方ジョジョの奇妙な冒険」。

物語を彩るグルメ情報、
冒険のようなトラブル対処法、
主人公の行程を参考にした旅行プラン。

22年7月発売、計17万部の大ヒット。

今秋には
「地球の歩き方ディズニーの世界」が発売予定。

地球の歩き方の名を冠にした
カレーやお菓子など商品開発も手掛けている。
（朝日新聞「けいざい＋」より）

「既存のノウハウ・知見」
×「新たなモノ（コラボ）」
＝「革新」になる。

「地球の歩き方」が実践してくれた。
40年来のユーザーとして、大変うれしい。