「縮んで勝つ」
小学館新書「縮んで勝つ 人口減少日本の活路」(河合雅司著)では、
「日本の人口減少は止められない。
減ることを前提として対策を考えていくことが求められる。
人口問題研究所の見通しでは、
2056年に1億人を割り込み、
2070年に8699万人、
2120年には4973万人まで落ち込む」と。
この本では、
人口減少化で七つの対策が書かれている。
そのうちの三つを紹介する。
一つ目は、
従業員1人当たりの利益の拡大。
人口減少を前提なので、勤労世帯は減少、
人手をかけずに利益を上げる。
従業員1人当たりの生産性を向上させ、
利益を拡大することが必須。
二つ目は、
商品を高付加価値化させる。
少ない従業員数で利益を向上させるには
利益率をさらに高めることが求められる。
1人当たりの生産性向上と
合理化によるコストダウンだけでは不十分。
利益を飛躍的に伸ばすには
商品・サービス自体が多額の利益を
もたらす存在とならなければならない。
三つ目は、
中小企業も独自に海外に進出せよ。
「良い商品をより安く」ではなく、
「強い商品」を携えて世界で勝負する。
東京の墨田区に和興という
アパレルOEM・ODMメーカーがある。
「日本製だからいい」だけでは世界に通用しない。
「日本製にはこういう強みがある」
という具体的な特徴や利点、
その魅力を説明できなければ、取引はできない。
では、日本の強み」はなんであろうか。
「着心地」という目に見えないところに
手をかけることに日本製の真価がある。
そこには着る人のために尽くす
という精神が宿っている。
結果、着たら一発でわかる。
明らかに海外製とは違う製品が仕上がる。
これがアパレルにおけるメイドインジャパンの魅力である。
1人当たりの粗利益を同業者より1.3~1.5倍にする。
そのためには同業者とは付き合わない。
付き合うと同じ思考に陥りやすい。
常に異業種から学ぶ。
業界の常識を疑う。
最近「異次元」という言葉を使う。
同じ次元では価格競争に巻き込まれる。
価格競争ではない「異次元」の競争。
それは1人当たりの生産性を上げることや、
高収益を得る「強い商品」作り、
顧客・従業員から信頼させる「ブランド」力。
人口減少は「静かなる有事」と言っている。