「機内の出会い」
出張中の飛行機内での出来事。
隣に旅行中の親子が座っていた。
私はラジオの中国語講座のテキストは開いていた。
すると隣の父親が私に
「中国語を勉強しているのですか」と訊いてきた。
私は「ハイ」と答えた。
父親は、
「私は中国人。学生時代に日本に留学。
卒業後は、日本で大手広告代理店に勤務。
その後、独立して、上海で広告代理店を経営している。
顧客は日系の大企業」と自己紹介をされた。
私は、中国を視察するために
中国語を学んでいること(まだ3ヶ月だが)を伝えた。
彼は、中国人について語り始めた。
「中国人の多くは、目の前の利益を追いかける。
顧客を継続的に取引を考えていない。
1回だけの取引しか考えていない。
市場はいくらでもある(お客はどこにでもいる)ため、
日本人のような長期的に継続して取引をしようと考えていない。
故にトラブルになりやすい。
長期的な視野で
顧客を大切にしようとしている中国人は約2割ぐらい。
残りの8割は目先の利益を追いかける。
いかに2割の人と取引をするか」。
「コピー、ニセモノは当たり前。
1度、日本のコシヒカリ米を中国に輸出したことがある。
ニセモノのコシヒカリ米が出回り、
本物のコシヒカリ米が埋没してしまい、
その事業は失敗した。
悪貨は良貨を駆逐する」。
「但し、本物志向の消費者はいる。
いわゆる富裕層。
しかし、なかなかそこまでたどり着けない。
閉ざされた市場。
富裕層をターゲットにした日系企業がたどり着けなくて、
撤退を余儀なくされた企業が少なくない」。
「中国ではモノよりもソフトがいい。
問題を解決するソリューションビジネスが望ましい。
マネされないもの。ニセモノにできないもの」。
中国でのビジネスは簡単ではない。
なるほど、孫子の兵法では「兵は詭道なり」。
戦わずして勝つために相手をだますということ。
もしくは「偽りの方法」。
私の場合、
目的は中国でビジネスをすることではなく、
最新の中国事情を目で見、耳で聴いてくる事。
そこから日本の中小企業が生きる道を探ること。
飛行機が着陸すると、
お互いの名前とメールアドレスの交換をした。
思わぬ出会いがあった。