「従業員は値段を下げたがる」
従業員の中には、
安易に値段を下げたがる人が出てくる。
ある税理士事務所の話。
身内の人と事務所を立ち上げて3年。
税理士業務のサービス料金について、
身内の人は、
「お客とはいい付き合いだから、値段はこんなもんでいいだろう」
と考えていた。
しかし、税理士は、資格者としてハンコを押す。
人のできない知識を提供しており、責任がある。
それでは安すぎる。
お客には、
「以前はこういう値段だったが、
今回はこの値段でお願いします」
と交渉して納得・満足してもらった。
会社は、粗利益で生きている。
人件費その他の経費を賄える粗利益を確保し続けていなければ、
会社は存続できない。
価格を下げることは粗利益を下げることになり、
経営が苦しくする原因になる。
価格を下げて売上を獲ることは、
創意工夫をしないで安易な行為である。
ある物語。
石工が3人仕事をしていた。
通りかかった人が3人に聞いた。
「皆さんは何をしているのですか」。
最初の人は、「石工の仕事で生活費を稼います」。
二人目は、「石工の仕事で一番の技能者になろうと思っています」。
三人目は、「立派な教会を建設しています。完成したら礼拝に来てください」。
一番いい石工は三番目になる。
しかし、多くの中小企業の従業員は最初の人。
(しかたがないこと。徐々に育てていくしかない)。
社長が三番目になる。
粗利益の確保とコスト意識をしていくと、
「これは(価格を高くしても)とれるんだ」、
逆に「これは(価格を上げると)とれないんだ」と解ってくる。
お客を見ながら値段を決めていく。
経営を勉強していくと、
ある条件が重なると
こちらのいい値が通ることが解ってくる。
今まで100で提示したのを
今回は5倍の500を提示したところ、
すんなり通った。
価格を下げるのは簡単。
そこでは思考が停止している。
価格を上げるには、
ある条件が重なり合うとできる。
その条件とは何か。
粗利益を生むのは何か。
粗利益を生まないものは何か。
それらをつぶさに見ていくと
「これだ」と気づく。
これが社長の戦略実力なんでしょう。