「いい料理とは」
江東区亀戸にある老舗割烹・弁当のM社(M会長)の話。
M会長は父親の事業を継ぐのがいやでした。
父親の姿を見て、長時間労働で余暇がない。
そんな人生いやでした。
そこで若い時に家出をしました。
父親が危篤になって戻ったときも、
父親から「継いでくれ」と言われても「いやだね」と断りました。
結局、継ぐことになりました。
継ぐからには環境と条件を変えていきたい。
従業員の給料・待遇を改善し、
労働時間を短縮させたい。
その時考えたのは、社員食堂。
週休2日制で労働時間も短い。
しかし利益が少ないので給料を多く出せない。
詰まるところ、飲食業は「生産性」。
東京で食事をするなら、銀座、日本橋や青山。
亀戸で食事をするということにはならない。
マネしても到底勝てない。
「亀戸」というマイナスのイメージをプラスに変えるには、
「どうしたらいいもんじゃろうのう」と考えました。
そこで、
100年以上続いている店を全国歩いて見て回りました。
「何か気づくはずだ」。
大いに参考になったのは、静岡の「丁子屋」。
とろろと麦飯を提供している店ですが、行列ができます。
「これだ!」。
「亀戸大根」と「あさり鍋」。
物語を加えて亀戸の逸品に育てました。
(亀戸大根は文久年間【1861~1864】に栽培され、
大正初期に「亀戸大根」と呼ばれるようになった)
「経費の70%は調理場にある」。
顧客満足と生産性を高めること。
調理人に数字を教えます。
月3回朝6時30分から早朝勉強会があり、
M会長がテキストを作成して、
社員教育を行なっています。
脅威はコンビニ弁当。
コンビニにはできない、
コンビニがやったら損する商品作りを日々研究しています。
「いい料理とは、どんな料理?」。
不正解はありません。
「美味しい料理」。間違ってはいません。
M社でいう「いい料理とは、印象に残る料理」のこと。
なるほど。
印象に残る料理なら、もう1度行きたくなります。
労働環境を改善する(粗利益の補給力を高める)には、
マネではなく、
独自性のある一番商品をつくることにあるということです。