「「経営」をしはじめた社長 」
ある中小企業の団体に
10年所属しているA社長と面談した。
A社長の会社は、
ここ10年以上価格を改定していなかった。
世の中の動きから
従業員の給料を上げざるを得なくなった。
今まで黒字経営だったが、
今期は若干の赤字を計上した。
「価格を上げてから給料を上げたの?」
と質問。
A社長、
「いいえ、先に給料を上げて、
価格改定はしていなかった」と答えた。
「それじゃ、利幅が少なるのは当然。
価格を改定してから、
給料を上げるのが順序じゃないのか」。
顧客から注文が入ると、
できる限り即納していた。
「今日、納めてほしい」と言われれば、
今日納めていた。
「明日の早朝欲しい」と言われれば
明日の早朝納めていた。
顧客対応の良さで
長年事業を継続してきた。
「ところで、
今日納める価格と明日納める価格、
そして3日後に納める価格は
どのように設定しているの?」と質問。
A社長、
「価格はみんな一緒です」と答えた。
A社は顧客対応の速度で顧客に評価されている。
「なぜ、納期の期間によって価格差がないのか。
印刷のラクスルは納期によって価格に差をつけている。
異業種から学ぶこと」。
A社長、
「納期で価格に差をつけることは考えたことがなかった」。
「A社は加工する技術と自前で配送している。
加工で付加価値、配送で運賃が取れますが、
どうしていますか?」。
A社長、
「配送は運賃をとっていない。
(無料)サービスです」。
会社の中で最大のコストは移動コスト、
ここに価値を作らないと
利益性が高まらない。
その後
A社長は一定量以下の物には
運賃を取るようにした。
顧客は不満もなく、納得した。
今では少量の場合、
顧客が取りに来てくれるようになった。
A社長は、
顧客から値引きの要請があると
すぐ応諾していた。
値引きは自社の価値を下げるとともに
利益を失うことを伝える。
「値決めは経営である」。
商売は値段を安くすれば誰でも売れる。
それでは経営はできない。
お客様が納得し、
喜んで買ってくれる最大限の値段。
ギリギリの一点で
注文を取るようにしなければならない。
(稲盛和夫の実学より)
A社長は今まで、
「経営」をしないで社長をしてきた。
「経営」をしていくと、
今の数倍の利益が出てくる。
A社長はワクワクしながら
「経営」に取り組んでいる。