「個の力を養う」
11月25日~29日日経新聞夕刊の
「人間発見」は柳川高校校長の古賀賢氏。
私立学校の経営は、
生徒数が減っていけば行き詰まる。
柳川高校も2010年度には719人、
定員1290人の約56%まで落ち込んだ。
今は毎年増え続け1210人。
人口減少化が進む地方都市の
私立高校で、生徒数が増えている。
高校1年の夏、
父(当時柳川高校理事長)がテニスのウインブルドンに
連れて行ってやるとついていったら、
そのままイギリスの高校へ行く羽目になった。
父は「英国の今を見てこい。
30年後は日本でも同じことが起こる」と言い残した。
今では当たり前のグローバル化、
多様化、男女平等などが
1980年代の英国では既に浸透し始めていた。
当時、学校には
日本人やアジア人はいない。
面と向かって「ジャップ」と罵られ、
生卵をぶつけられ、辛い日々を送った。
しかし、
テニス大会で実力を見せつけると、
友人もできた。
人種差別の状況を乗り越えるには、
自分の力を認めさせるしかない。
テニスという強みが自分をアピールできた。
ロンドン大学に入学し、人生で一番勉強した。
帰国後、柳川高校に就職し、国際課を新設。
29歳で副理事長に就任。
高校の経営が厳しくなってきた。
バブルが崩壊し、
銀行は融資の回収に力を入れた。
再建計画策定と銀行交渉に明け暮れた。
処分できる資産を売却し、
ある程度まとまった額を返済、
残りは時間をかけて返済することに。
昨年11月全額返済した。
全校朝礼で毎週、
生徒に直接語りかけることにした。
ワクワクする話、
自分の失敗談、
ずっこけ話、アイドル談義など
生徒が興味を持ちそうな話題を熱く語った。
前例のないことを次々と実現した。
他の高校と同じことをやっていたのでは、
地方の私立高校は埋没する。
世界のマイクロソフトと提携ができた。
マイクロソフトコースがある高校は柳川高校だけ。
生徒はどんどん資格を取る。
NTTコミュニケーションズとは
メタバース(仮想空間)授業。
大正製薬とはマーケティング授業。
JAXAとは宇宙授業。
勉強はもちろん大事だが、
その先にもっと大事なことがある。
人生を切り開く個の力を身につけること。
柳川高校は世界13か所に事務所があり、
タイに付属中学を持って、
多くの留学生を受け入れている。
無から有を作るヒントがある。