「大衆と高価格帯」
10月4日付日経新聞、
「花王、マスより高価格帯」という記事。
花王が高級品をてこに
ヘアケア事業の改革に乗り出している。
100年の歴史を持つ看板事業にもかかわらず、
近年は新興ブランド(企業)に後れを取っている。
目指すのは
マス(大衆)向け商品に依存する経営からの脱却。
花王は高価格帯のヘアケアブランドを発表。
シャンプーやトリートメントは
1760円で定番品の倍の値段。
ヘアケア市場では単価1400円以上の
「ハイプレミアム商品」の売上が増えている。
新興ブランドが乱立。
中でも存在感を見せているのがI-ne(アイエヌイー)。
シャンプーなどの「ヨル」は
21年の販売から1年で累計1000万本超の販売。
一方、
花王のヘアケア商品全体の売上高に占める
ハイプレミアム商品の比率は1%(99%は大衆向け)。
花王の主力商品「メリット」の
シャンプー市場でのブランド別シェアでは
16年5.5%から23年4.9%に減少。
アイエヌイーの「ボタニスト」は
1.8%から4.8%へ急伸し大手に追い付いている。
花王の23年12月期は
売上高1兆5325億円、粗利益5604億円、
経常利益638億円、従業員4万2856人。
1人当りの粗利益1307万円、
1人当りの経常利益148万円。
(有価証券報告書より)
一方アイエヌイーの23年12月期は
売上高416億円、粗利益222億円、
経常利益43億円、従業員390人。
1人当りの粗利益5703万円、
1人当りの経常利益1112万円。
(有価証券報告書より)
花王は、アイエヌイーと比べて
売上の規模は36倍強だが、
アイエヌイーの方が1人当りの粗利益は4倍強、
1人当りの経常利益は7倍強と収益性は圧倒的に高い。
花王は、
多角化でヘアケア事業は多くの事業の一つで、
客層は低価格の大衆向け。
一方、アイエヌイーは、
売上の大部分はヘアケア事業で、
高価格帯を選定する客層向け。
小さな会社が参考にするのは、
会社の価値は売上の規模ではないということ。
多角化ではなく、
一つの事業を深掘りすること。
価格競争ではない、
高価格帯の次元の違う競争にチャレンジすること。
そこに儲けがある。