「3社寡占状態の業績は」
10月27日付朝日新聞、
「トヨタ完成車工場10日ぶり全面再開」という記事。
トヨタ系列のばね部品メーカー
中央発条の工場で爆発事故の影響で
トヨタグループ国内全14工場13ラインが止まった。
26日に全面復旧した。
通常複数の部品の調達先を
確保するするなど有事に備えているが、
今回は他の企業で調達が
難しい部品の供給が滞ったことが復旧を遅らせたと。
中央発条が手掛けるのは
「コイルスプリング」。
車種ごとに形や材質が違い、同じものはない。
供給網が切れた時、
他社から調達できる部品ではないと。
調査会社によると、
2019年の国内シェアは
日本発條が45%、中央発条が35%、
三菱製鋼が18%と3社で98%、寡占状態。
そうなると3社の業績(ばね事業のみ)はどうなのか。
(有価証券報告書より)
23年3月期 売上高 営業利益 単位:百万円
日本発條 146,847 ▲2,734 (総売上:693,246 営業利益:28,838)
中央発条 92,766 354 (売上高営業利益率0.38%)
三菱製鋼 59,858 ▲2,166 (総売上:170,537 営業利益:5,547)
驚いたことに、
3社寡占のばね市場で2社が営業赤字、
1社が辛うじて黒字。
赤字の2社は
他事業部のお陰で営業利益を計上していた。
調査前は
どんなに利益を上げている会社なのかと
楽しみにしていたが、
3社寡占状態なのに
赤字もしくは低収益であえいでいるとは想像しなかった。
これで事故を起こしたら黒字は吹っ飛ぶ。
通常3社寡占状態ならば
価格決定権は供給先にあって、
3社とも高収益企業が多い。
ばね事業の需要先である
自動車メーカーははるかに強いということなのだろう。
市場占有率を高めると効率上昇で
収益性が高まると言われている。
新しい市場であるならば
先行投資で市場を高めるために
赤字を続ける場合がある。
今回は3社とも100年企業に相当する。
高収益は
市場占有率よりも
価格決定権があるかどうかなのかもしれない。