「もはや野党でいられない」
ある小さな町工場のA社長の話。
工場のスタッフに定年を迎えた人が数人でてきた。
これを機会に社長は業務を刷新し改革を断行しようとした。
そのとき、
改革推進派と反対派(現状維持派)と
様子見の3グループに分かれた。
「262の法則」というものがある。
それは、どんな組織でも
「上位層2割、中間層6割、下位層2割」に分かれるという法則
(経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱された
「パレートの法則」が262の法則の元になったと言われている。諸説あり)。
A社長の話では、
正に262の法則の通り、
2割の推進派と6割の様子見、
そして2割の反対派。A社長は悩んでいた。
私は2000年代に企業再建の仕事をしていた時に
参考になった図書「V字回復の経営」
(三枝匡著/日本経済新聞社)がある。
A:改革先導者、
B:改革フォロワー、
C:改革抵抗者に分類。
社員の多くがどの類型に属するか、
その分布によって改革の帰趨(きすう)が決まる。
「分布の移動」は、
改革の「結果」として自然発生的に起きる面がある
(いわゆる「勝てば官軍」)。
成功する改革では、
強い改革者が「分布の移動」を恣意的に引き起こす。
断固たる覚悟と見識を示すことで、
賛同者の「移動」を呼び込むのである。
人材は小さな会社には多くない。
しかし、
磨けば光る素材の社員が必ず数人は社内に埋もれている。
人選のカギは「気骨」と「論理性」。
あとは鍛えればいい。
組織文化の変化には
必ず組織内で起きる「事件(混乱)」を触媒して進展する。
事件を避け、なるべく穏便に無難に
ことを進めようとする経営者では、
その組織文化を変えることはできない。
社長は、自分の信念、生き様、
そして思慮深く組み立てた明快な戦略を
熱い心で社員にぶつけ、ガタガタと音を立て、
人々の心を揺らし、インパクトを与える「事件(混乱)」を起こす。
それを経て、改革は成就する。
社長は社員に伝える。
「あなたはもはや野党でいられない」。
最初の2ヵ月が勝負。