「赤字事業を中国がやるとなぜ黒字になる?」
5月31日付朝日新聞、
「レグザ国内テレビ販売首位」という記事。
東芝が2018年に
中国家電大手の海信(ハイセンス)グループに
売却したテレビ事業が22年度の
日本国内の販売シェアでトップに躍り出た。
同じく16年に手放した白物家電事業も
中国の美的集団の傘下ですぐに黒字化し、
順調に売上を伸ばしている。
赤字事業だった2つの事業が
「黒字」に変身した背景には何があるのか。
レグザの日本人副社長は、
「調達能力と判断の速さはすごい。
ハイセンスの傘下に入って、
意思決定のスピードが上がった」と話す。
ハイセンスの中国工場が生産を担い、
部品の調達も「規模のメリット」で安くできる。
白物家電の東芝ライフスタイルの日本人取締役は、
「当時は中国企業の傘下になるのか、
という思いはあったが、今はよかったと思っている。
経営は欧米的。
権限が与えられるが、その代わり責任を取る」。
美的傘下になって変わったのは、
意思決定のスピードと投資の規模。
東芝時代は白物家電の優先順位は低く、
人と資金への投資は後回しにされていた。
今は200以上の国・地域に
またがる美的の販売網を活用している。
書籍「中国的経営イン・デジタル(中国企業の強さと弱さ)」
(岡野寿彦著/日本経済新聞出版)によると、
日本企業の組織はピラミッド型の階層が多重構造で、
変化への対応力が乏しく、
意思決定が遅い。責任の所在があいまい。
良いところとして、
高品質の製品を生み出す研究開発力に優れている。
一方、
中国企業はトップ・コアメンバーと
現場(部長・課長・社員)の二重構造で
トップダウンによる意思決定が早く、
集中的な資金、人材の投入をして、
短期間で市場シェアと取りに行く。
ここから学ぶことは、
東芝は非関連多角化事業をされていた。
経営資源(人・もの・金)が分散されて、
どの事業も経営力が弱まって、
どれも負け組だった。
中国企業は家電専業で、
経営資源を集中投資ができて成果が上がった。
小さな会社はいろんな事業をするのではなく、
専門特化して経営資源を集中し、
意思決定を素早く行う。
トップの経営力が問われる。