「情報は盗まれる」
ランチェスター「顧客戦略」テキストに、
「顧客は友好的、性善説で対処し、
ある程度の自己犠牲が必要になる。
競争相手は、対立、性悪説で対処し、
競争相手との本当の力関係は2乗比になる」
と書かれています。
外資系アパレルメーカーは、
日系アパレルメーカーとライセンス契約を解除する2年前、
OEMで製品を作っている中小企業の工場を視察しました。
中小企業側は、
ライセンス先でもあり、工場を案内し、
工程を一部始終情報公開して親切に説明しました。
そして2年後、
ライセンス契約の解除により受注がゼロに。
海外の工場で(ノウハウを盗まれ)作られてしまいました。
機械製造会社の下請けをしている中小・製造業の話。
特殊の仕事の依頼があり、
試作品を繰り返し量産に備えました。
当時は、その得意先に対して、性善説で対処していました。
試作品が出来たときには、得意先へ試作品を渡していました。
ある日、その仕事はなくなったと言われました。
しかし、得意先は、
試作品から製品を作り上げる情報を解析し、
海外の工場で作っていました。
パワーポイントで試作品の説明しただけでも、
解る人には解り、
他社でものを作られてしまいます。
得意先という顧客と言えども、
いつ競争相手に仕事を振ることもありえます。
性善説と性悪説の両方で対処する必要があります。
今はどうしているか。
試作品を作っても現物を渡すことはしません。
見せるだけ。
その代わり写真を渡します。
ただし、解る人には解るので、写真も修正して、
消すところは消します。
(守秘義務契約を結ばない慣習も不思議だが)
大手企業から工場を見せてくれというのは、
何か目的があります。
工場内を見せていいところと
見せてはいけないところを明確に分けます。
情報開示と情報非公開の線引きが
中小企業の生き残る分水嶺。
日本のもの作りは、
日本だけではなく世界と戦っています。
得意先は、顧客でもあり、
他社に仕事を振ることもあります。
友好的、性善説で対処しつつ、
大事な所は性悪説も忘れない。
独自の情報を守ることの大切さを知りました。