日刊帝国ニュースの倒産事件より
「◎◎醸造 事業停止、自己破産へ」
当社は、1892年創業。醸造業者として長年の実績から地元では高い知名度を有していた。
しかし、大手業者との競争から醸造を逐次縮小し、食料品と種類の卸を主体として運営に切り換えた。
1995年には年間売上高約7億5000万円を計上。
しかし、小規模な小売店や飲食店を得意先とした営業であったことから、
近年は得意先件数が漸減し、2005年の年間売上高は約3億4800万円にダウン。
2007年に他の食品卸業者の業務を承継し、一時的に増収になったものの、
経費負担から厳しい展開が続いていた。
その後再び減収となったことで収益が悪化、借入金負担も重く、
先行き見通しが立たないことから今回の事態となった。負債約4億5000万円。
●「町コン」五十嵐勉(五十嵐ダルマ)
ポイントは顧客(得意先)の数が減少し続けたこと。
粗利益の大本である顧客が減ってしまった。
どうして減ってしまったか?
昔は、小さなお店が多くあったので、小規模な食品卸業者でもそれなりにやってこれた。
しかし今は、大手スーパーが各地に出店し、コンビニが各地に多くのFCを作ると、
本部が一括仕入をはじめる。こうなると中小卸業者の顧客は減り始める。
小さなお店はなくなり、いずれ中小卸業者はやれなくなる日が来る。
これに対応するには、業界・客層を変え、業務用等に絞り込むか、
自ら小売業を行うか、別の事業を始めるか等をしないと生き残れない。
「情報収集」が大事。
①業界のライフサイクルの変化
②競争相手の出現
③販売先業界の変化
④社会の変化
⑤法律の改正
などで売上げが構造的に低下することがある。
これに対して、営業ルートや業界、客層を変え、営業方法を変えざるを得なくなる。
情報量が多いと有効な手が打てる。
決断も早くなり、成功率が高くなる。
これは「営業戦略」の一つ。