平成23年12月23日付、日経新聞、スポーツ欄の
武智幸徳氏のコラム「アナザービュー」から。
日本サッカーの歴史を変えたマスターの1人、ハンス・オフト氏が今月初め、日本を訪れた。
近しい人に”引退”の挨拶をして回ったのである。
欧州サッカーに対する危惧を語った。
日本にはバルセロナやレアル。マドリード、マンチェスター・シティーなど
大手クラブの派手な話ばかり流れてくるが、
欧州の経済危機は確実にサッカー界にも及び、
「リーグの中位以下や2部では年俸などの価格崩壊が進んでいる」
長期契約で守られた超一流組は安泰だが、
それ以外は購買力のあるロシア・リーグに吸い寄せられる。
ブラジルの選手流出が止まり気味なのも、ブラジル経済の活況と欧州の退潮がセット。
値崩れを起し始めた欧州から地味でもいい選手を取るチャンスは日本にもある。
経営力の弱いJリーグのフロントをどう強化すべきか。
「ユースの選手を懸命に育てることだ」
それは
①地域との結びつきを強固にする。
②支えるサポーターを増やす。
③クラブに頑丈な根っこを作る。
チームの核となる世代を育てるのに5~6年かかるユースの育成は
系統立てて長期的視野で考えるのに自然に役立つから。
●「町コン」五十嵐勉(五十嵐ダルマ)
ハンス・オフト氏の言われることは、「弱者の戦略」に通じます。
強者の戦略は資金力で一流選手を買っていく。企業でいえば、M&A。
時間を金で買う。育成する時間を惜しむ。
弱者は資金がない。
選手を育てなかればならない。特にユースから。
企業でいえば、新人、中途採用の社員を自社の「差別化」教育で育てる。
時間はかかる。
しかし、しっかり根がはいえていく。強い会社になる。
欧州の経済悪化がスポーツにも及んできた。日本、アメリカの後追いである。となるとどうなるかも予想できる。