「疫病流行が変えた社会」
3月11日付朝日新聞、
投資コラム「歴史に学ぶコロナ禍の後」より。
市場の長期的な動向を見極めるには、
新型コロナのパンデミックの先で、
世界の姿がどう変わっていくか想像することが極めて重要。
今回のコロナ禍は100年に一度の出来事。
現代を生きる人には経験もなく、
終息後を想像するのが難しいと聞く。
20世紀はじめのスペイン風邪や
中世に繰り返されたペストなど
度重なる疫病の流行を人類が乗り越えたのも事実。
過去、疫病によって
社会に起こる変化には
驚くほど共通点がある。
1.実質的に働ける労働者の減少。
2.それに対して企業は資本装備率を上げ、生産性の向上を試みる。
(資本装備率:労働量に対する資本量の比率。
正しくは労働の資本装備率。資本設備額(総資本額)÷雇用労働者数。
資本装備率の上昇は生産力の増大を意味する。ブリタニカ国際大百科事典より)
ペストの時代、土地の集約化が進み、
更なる生産性向上が産業革命につながる。
スペイン風邪では、
工場のオートメーション化が始まり、
大量生産時代へ。
両時代とも生産資源の集約化、
資本の集中化を加速させた。
コロナ禍では、
職場への出勤が大きく減り、
生産活動が一時的に抑制された。
これを契機に
企業はデジタル技術による変革を進め、
ITや通信分野の投資を加速。
生産や資本が変われば、
人々の暮らし方も変わる。
リモートワークの進展、
ワーク・ライフ・バランスの重視、
ネットビジネス化、キャッシュレス化が進む。
(ワーク・ライフ・バランス:「仕事と生活の調和」。
働きながら私生活も充実させられるような職場や社会環境を整備する)。
小さな会社にとって、
生産性向上(資本装備率を高める)とは、
1人当たり粗利益額を同業者比1.2~1.5倍に、
1人当たり純利益を同業者比3倍以上にすること。
つまり「利益性の原則」を理解し、実践すること。
強いモノ作り、小規模で1位を獲ること。
それを積み重ねていくことが高収益企業につながる。
それとともに
コロナ禍によって急速に発展する技術を
いかに自社に合った取り組みが出来るかが、
生産性向上につながり、ワーク・ライフ・バランスにも直結する。
知恵と工夫次第で面白くなる。